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「しめなわ」の縁起

「しめなわ」はお正月の縁起物として知られていますが、どのように縁起なのでしょうか。一般的にしめ縄は「結界」の役割、あるいは天照大御神が天の岩戸から出たとき、再び入らないように塞いだ縄とありますが、言霊学の視点でしめなわを理解すると、縁起の効果が高まることと思います。

1.伊邪那岐神と伊邪那岐神の物語

 

 

 

 

「しめなわ」の「しめ」は神の「示し」であり、伊邪那岐神と伊邪那美神の物語が隠されています。日本最古の書物「古事記」の一部をご紹介します。

伊邪那岐神(いざなぎのかみ)と伊邪那美神(いざなみのかみ)二神は万物万象の生みの親とされています。二神が出会ったとき、女神である伊邪那美神から「我が身は成り成りて成りれる処一処(ひとところ)あり…」と、「あら、あなたいい男ね」のような声をかけました。そして二神は交わりを持ちましたが水蛭子(ヒルコ=ヒルのような子供)が産まれます。

二人はなぜ水蛭子が産まれてしまったのか悩み、高天原の神に相談をしました。すると神から送られてきたのは、「布斗麻邇」(ふとまに)という最古の五十音図でした。それを見た二神は順序が間違っていたことに気づきます。そうしてもう一度、出会いからやり直し、今度は伊邪那岐神から声をかけます。

ですがその後、伊邪那美は自分が産んだヒルコが原因で亡くなり、二神は黄泉の国で争うことになります。互いに愛し合っているにも関わらず、愛が強いがゆえ執着し、行き違いが生じます。そして伊邪那岐神は伊邪那美神の首を切り落とすに至ります。

これは、あらゆることの道理であると古事記は説きます。

2.霊と体の呼び合い

 

 

 

 

 

 

この二神の産霊(むすび)の姿を象った呪物が「しめなわ」です。伊邪那岐の「岐(き)」は「気(き)」であり「霊(ひ)」であり「こころ」を意味します。伊邪那美の「美(み)」は「身(み)」であり「体」を意味します。先天の二神は婚(よばい)によって、後天の子(実相、現象)を生み出します。

婚(よばい)は「霊」と「体」の呼び合いであるとともに、「こころ」と「肉体」の呼び合い。男神の伊邪那岐神が「霊」を、伊邪那美神が「体」を授け、「子」という現象が生じます。皇室が万世一系である所以はここにあります。神は霊ですから、父から子へと、日本の最高神である天照大御神の御神霊が引き継がれます。

 

しめ縄は、正しくは9つの撚り目があります。2つの縄が撚り合わされるごとに二神が結ばれて御子が産まれます。「9」という数字は1~8を含む「統合」や「永遠」を意味します。現代になってニコラ・テスラなどが様々な研究を行うようになりましたが、日本は古事記がつくられた8世紀以前からその意味を知っていたのですね。

1つめの撚り目は「ア」で産霊(むすび)の働きがあります。9つめの撚り目は「ナ」で統合の働きがあります。「ア」は「吾」であり男性、「ナ」は「汝」であり女性を意味しているため、「ア」が先で、「ナ」が後。そして「ナ」が和して「なわ」=「縄」となり、生み出されます。こうして縄が結ばれていく様を糾う(あざなう)と言います。

3.森羅万象すべては循環す

 

 

 

 

 

玄関に飾るしめ縄は「輪」になっていますね。「ア」が「ナ」と一つになり「輪になる」=「和する」の意味があると共に、森羅万象すべては「環(わ)」=循環していることを表しています。

先天である父母の意識は霊と肉体で呼応し、結びつき、すべては実相からグルグルと「還元」の道を辿り、成長していきます。これは『自分が出したエネルギーは自分に還って来る』という宇宙の真理「トーラス」のことです。日本は宇宙エネルギーも古くから認識していたのですね。本当に稀有の国です。

※トーラスは「人間とAIと健康の接点」でご紹介しています。
http://pr5.work/0/nurseorb4

伊邪那岐神と伊邪那美神のお話は万物万象の道理なので、家族に限ったことではなく、ビジネスも同じです。古事記は神さまたちが国づくりをするお話ですから、ビジネスに大いなるヒントを示してくれています。今の日本は完全に西洋化されていますが、その教えは私たちを幸せにしてくれたでしょうか?物質的には豊かになったかもしれませんが、病は増え続けています。日本は今一度、自分たちの根源を見直す時期なのではと思います。歴史は巡るのです。

4.健康成就

 

 

 

 

 

霊と体がまぐあい、9つの結びを経て、和して物事を成す。この一過程が「一念」です。念が通ずる、望みが叶う、目標を達成する、実現するなど。「環」=「和」になることで現象が還元され、成長します。お金、会社、国、人類など、すべてはこの道を通って発展を遂げます。誰かが握りしめている状態は、和に反するのです。

「体」は、まさに夫婦がまぐ合い、2つの霊と体が結びをつくって誕生します。人体の細胞60兆個、そのすべてが「和」して「一念」になっています。人体は肝臓や心臓、血圧や酸素がバラバラに働いているのではなく、互いに補い合いながらすべてが調和して「一人」を維持しているため、一部分だけを見て薬で手を加えたり、一部分を切り捨ててしまうことは「和」に反します。

悪いところも含め、すべてが「一念」たる「魂」であり「自分」です。そして最期は「大きな一つの環」を閉じることによって一つの人生が幕を下ろし、次の世代に引き継がれるのですね。

さいごに

 

 

 

 

 

言霊学を通して「しめなわ」の縁起をお伝えしました。言霊は天皇だけに受け継がれて来た天の学びです。「力入れずして天地(あまつち)を動かし…」という和歌が詠まれていたように、霊力や神力に通ずるエネルギーです。

伊邪那美神と伊邪那岐神の話が男尊女卑だと憤る必要はありません(笑)。真のことだまは「しめなわ」という言葉ではなく、「五十音」の音にあります。母音(アイウエオ)と父韻(タカマハラナヤサ)の組み合わせで子音が発生するという、縁起の源となるエネルギー。母音が父韻の後なのは、母はあらゆるものを支える大地であり、響きだからです。

日本語は「平仮名」「漢字」「数字」が入り混じる、とても複雑な言葉ですね。一つの仮名に対応する漢字が幾つもあり、それぞれに意味合いがあります。また、漢字の読みは音読みと訓読みがあります。古事記と共に、まるで語呂合わせのように仮名や漢字を読み解いて意識を拡大していきます。言語の最小単位を扱うため、縁を切る、縁を起こす、良いも悪いも意のままに現れるのが言霊です。

「男女のまぐあい」
「霊と体の呼び合い」
「和して循環する」
「一念を成就する」
しめ縄にはこうした縁起が含まれています。
中でもいちばん大切なのは「和して循環すること」
戦後失ってしまった日本の素晴らしさが、再び目覚めることを祈っております。

 

 

しめ縄づくりの動画
<出雲大社神楽殿 しめ縄創作館>

初めてに人も読みやすい古事記の本
<眠れないほど面白い古事記>

しめ縄の話は
<古事記解義/言霊百神>より

ご覧くださりありがとうございます。

 

 

 

 

 

 

 

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