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看取り対話師研修を開講しました

2023年7月9日「看取り対話師研修」を看護師18名で開講しました。
"看取り対話師"という働き方は、まだこの世にない新しい試みです。ですがきっと、これからの多死社会に必要不可欠な職業になっていくと思われます。まずは経験10年以上の看護師と共に歩み始めます。

 

6月中頃にフロント講座の受付を開始したところ、3日間で30名のお申し込みをいただき開講へと至りました。
看護師の皆さまの興味・関心が伺えます。

 

 

 

 

 

開講に至った経緯

日本は、2020年に第一次ベビーブーマーが75歳を迎え、2035年には第二次ベビーブーマーが65歳を迎えます。これによって我が国は国民の約3/1に当たる3600万人が高齢者になります。

ということは、その後20年の間に3600万人が介護や看取りの状態になり、それと同じ数かそれ以上の人がみとり介護に関わることとなり、圧倒的な多死社会が訪れます。そしてご自宅で家族に看取られて亡くなる人、もしくは一人で孤独に亡くなる人が急増します。

この状況に対し、新たな社会資源として活動するのが看取り対話師です。
以下に<看取り対話師の社会的意義>について記載しますので、ご興味ある方はご覧ください。

 

 

 

 

 

1.ご自宅での最期に寄り添う看護師

日本は戦後70年かけて、病院で最期を迎えることが当たり前になり、死の瞬間に立ち会った経験のある方は非常に少なくなっています。私たち看護師であっても死に対して戸惑うことが少なくありませんが、これから先はご家族が、あるいはご本人がお一人でそれを担っていくことになります。

訪問看護、訪問介護、訪問医療があるじゃないか…と思われるかもしれませんが、実際のところ保険内で訪問してくれるのは1回30分~1時間、週に数回という短い時間です。最期のもっとも不安なとき、ご家族だけで看取らなければならない状況。訪問医療や訪問看護ステーションに連絡をしても、実際に訪問するのはたいてい死後になります。

看取り対話師は保険外の活動のため、ご家族の依頼に応じて何時間でも(状況によっては24時間交代で)そばにいることができます。ご家庭での最期は大方安らかにご逝去されると思いますが、呼吸苦や痛みを伴う場合はご家族の不安が大きいため、常にそばに看護師がいることで、共により良いお看取りが可能になるのではと思います。

また、少子高齢化により働く人が減少する近未来において、介護をしながら働く人が圧倒的多数となっていきます。看取りはその時がいつ来るかわからない状況で、ご家族が仕事を休んで不眠で付き添うのは難しいと思います。誰でも最期の瞬間はそばに居たい、できれば一人で逝かせたくないと思うと思います。その点においても看護師が常駐していれば、いつの間にか…、気づいたら…というようなことがなく、後悔しないお看取りが可能になると思います。

 

 

 

 

 

2.残される人の勇気になる看取り

今、ほとんどの人が死から目を背けています。生物学的には当然のことと思いますが、人を魂の次元で看ると違った角度から死を考察することができます。現代人は忙しく悲しむ時間もないため、死が通り過ぎていっています。よって"死が死でしかない"というのが現状です。

ですが私たち看護師の経験から"死に意味を持たせること"が可能でないかと思い、それが形になれば恐れを和らげることができるのではないかと思っています。そのための"看取り対話"を研究、考察していくのが看取り対話師の主となる役割です。

看取りは医療の段階を終え、介護の段階も終えて、私たちに出来ることはあまりありません。だからこそ関わり方が大切な時期であり、ご家族とともに、人生の最終段階の成長を遂げることが目的かと思います。1950年頃にエリザベス・キューブラ・ロスという精神科医が研究した死を、私たち看取り対話師が進化させていく役割を担っているのかもしれないと思う所存です。

 

 

 

 

 

3.魂の浄化

3つめとして、看取り対話師に重要な役割があります。それは亡くなられる方の魂を癒すという務めです。今ご高齢の方々が生きた時代は、戦後のもっとも貧しい時代で、みなが悲しみや寂しさや恐怖・不安など感情を横に置いて、一丸となって復興してくださった経緯があります。そのおかげで今の私たちは物に不自由することのない生活ができています。

しかしながら自分の心が置き去り、自分と家族を犠牲にして他者承認で生きてしまうと、魂は病んでしまいます。身内や親しい間柄でも争いや恨みなどを抱えていることが少なくありません。お気づきだと思いますが、そうした念を浄化しなければ、私たちは新しい時代に移行できないのです。また、その傷ついた魂が時空を超えて子孫にも伝播する恐れがあり、どこかでその重い念を取り払う必要があります。

とくに戦後はテレビ、新聞、ラジオなど言葉で生きた時代です。よって"看取り対話"という関わりで私たち看護師が魂の癒しを図る働きをします。この行為によって、過去200年間争いを繰り返してきた祖先、報われないまま亡くなっていった兵士たちの魂をも、時空を超えて癒すことができます。また、私たち看護師も救えなかった命、過剰な医療によって疲弊させてしまった魂をも昇華することができます。

この生きづらい現代、物は取り戻したかもしれませんが心は失ったままで、まだまだ争いが続いています。それは傷ついた魂が天に昇華できず未だ彷徨っているからに他なりません。これから世界中が浄化のための"洗い流し"が起こるだろうと思われます。ですがわずかでも看取り対話師の魂の活動が救いになればと思っています。

 

 

 

 

 

4.第三医療者としての存在

ここ数年、以前はビジネスサポートをしていたクライアントさんからの介護・看取り相談が多くなっています。状況をよくよく聞いていくと、痛みのコントロールができていなかったり、介護点数が余っているのに希望するリハビリに来てもらえないなど、我慢しなくていいことを家族が我慢されていることが多いのを感じています。

また、70代80代で認知症の方、老々介護の状態の方に胃ろうの留置を勧める病院があり、ご家族の意に反して処置が行われていくことが珍しくありません。ご家族が積極的な治療を望まない場合、他の身内の承諾書を請求されたり、まるで鬼であるかのような言われ方をするような事態もあります。

こうした理不尽なことがあってはならないと思いますが、ご家族がしっかりと意見を言うしかないというのが現状です。そのために、組織の利権や権威に関わらない第三者の医療者の存在が必要不可欠ではないかと思います。どちらにも関わらない、客観的な情報をお伝えできるサポーターとしての役割も担っていくことができると思います。

 

 

 

 

 

5.潜在看護師の活用

病院で働く看護師が10万人余ると言われて7,8年経ちます。実際、病院勤務から介護分野に転職する看護師が急増しています。しかしながら2035年に向かえる多死社会のピークに対して、毎年看護師資格取得者が5万人増えているとはいえ、約80万人不足すると言われています。

一方、離職する看護師が年間10万人いると言われており、2020年現在、看護師として勤務している人が130万人、看護師として勤務していない人が70万人となっています。

看取りは最新の医療技術を必要とする時期ではありません。基本的な医療行為ができれば良しで、通常は医療行為を行わないことから、潜在看護師の活用が可能です。看護師の心情としては、看護師の仕事は好きだけど職場の人間関係が…という理由で離職する看護師が断たないというのが実情ですので、潜在看護師さんが復帰できるような仕組も準備していきます。

 

 

 

 

 

看取り対話師の課題

看取り対話師の社会的意義は多数あります。専門職がご家族あるいはご本人様に寄り添うことで、大安心の状態をもたらすことがいちばんの目的です。しかしながら保険外の活動ということは自費になるため、利用者様の負担が大きくなります。

どなたでも利用できるようにするには社会の理解と協力が必要となりますので、お看取りが人生最期の成長であることを広めていく所存です。それには「看取り対話師さんに来てもらってよかった」と言っていただけるようなお看取りを積み重ねていくことだと思っています。

 

 
最後までご覧くださり有難うございます。
看取り対話師協会のホームページをご覧ください。
mitori.in

 

 

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